カーフィルム施工ってどんなサービス?詳しく解説!
車の窓ガラスにウィンドウフィルムを貼り付けする【カーフィルム施工】。
ディーラーや中古車屋のオプションメニューで見かけたことはあるけれど、詳しくはよく分からないという方が大半だと思います。
貼ってみたいけれど悩んでいる方に向けて、ウィンドウフィルムとは何なのか、貼る意味はあるのか、そのあたりについて解説していきます。
ウィンドウフィルムの構造
ガラスに貼り付けるフィルムのことを【ウィンドウフィルム】といいますが、どのような構造になっているのでしょうか。
ウィンドウフィルムは、基材フィルム、粘着層、ハードコート層、剥離フィルムで構成されており、薄くて引っ張り強度が高いのと、光に対する様々な機能を備えています。
基材フィルム
メインの構成材で、主原料はポリエステル(PET)です。
高い透明度と引っ張り強さ、そして熱によって縮む性質があるため、窓ガラスに貼り付けるフィルムとして最適です。
PETを25~50μmに引き伸ばし、着色や金属蒸着加工・スパッタリング加工を施します。
コピー用紙が70μmですので、それよりも薄いです。
主に、日射調整の役割があります。
粘着層
フィルムをガラスに接着させつつ、紫外線を防ぐ層です。
一般的に、紫外線吸収剤を添加したアクリル系粘着剤を使用しており、5~20μmほどの厚みです。
ハードコート層
基材フィルムを傷から守る、非常に硬い層です。
遮熱フィルムには、赤外線吸収材として金属粒子が添加されています。
2~3μmほどの厚みです。
剥離フィルム
作業直前まで粘着層を保護するフィルムで、25μmほどです。
全ての構成材を合わせても0.1mmほどの厚みしかありませんが、それぞれの材料が持つ性質を生かした、様々な機能をガラスに付加することができます。
では、ウィンドウフィルムを装着することによって、乗る人にはどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。
カーフィルム施工のメリット
大きく分けると、プライバシー保護、日焼け防止、遮熱、ガラスの飛散防止の4つのメリットがあります。
プライバシー保護
後ろからの視線や、荷物を覗かれる心配が無くなり、防犯にもつながります。
日焼け予防
ウィンドウフィルムには紫外線吸収剤が添加されているので、紫外線を防ぎ、日焼けやシミといった肌トラブルから解放されます。
遮熱
赤外線や可視光の侵入を抑え、ジリジリと熱い感覚を和らげることができます。エアコンの効きも向上します。
ガラスの飛散防止
ガラスが割れた際の破片の飛び散りを防ぐことができます
ウィンドウフィルムを装着することで、健康被害を軽減したり、省エネにつながったり、車内を快適にする多くの効果を得られます。
毎日運転する方にとって、快適性はとても重要ですよね。
ウィンドウフィルムの種類
ウィンドウフィルムといえばスモークフィルムのイメージが強いと思いますが、実は様々な種類があります。
フィルムの色や構造で、着色フィルム、透明フィルム、反射フィルム、薄膜積層フィルムに分けられます。
着色フィルム
スモークフィルム、カラーフィルム
染料などによって着色したフィルムで、黒い色のスモークフィルム、カラフルなカラーフィルムがあります。
日射調整や遮熱、ドレスアップとして使用されます。
ほとんどのメーカーで、数種類の明るさのフィルムを用意しており、明るさは可視光線透過率という数値で表されます。
可視光線透過率とは、人間が色として認識できる光(可視光)をどのくらい通すか示した数値で、小さいほど暗く、大きいほど明るくなります。
目安として、可視光線透過率1~5%は車内をしっかりと見えなくできます。10~20%は中からの視認性も保ちつつ暗くできます。25~35%は透明なガラスに貼ると純正プライバシーガラス風に変えることができます。
透明フィルム
UVカットフィルム、遮熱フィルム、飛散防止フィルム
無色透明なので、見た目ではなく、機能性を重視したフィルムです。
日焼け予防や遮熱、ガラスの飛散防止用として使用されます。
可視光線透過率は高めなので、フロントのガラスにも貼り付けできます。
反射フィルム
ミラーフィルム、スパッタフィルム
金属コーティング層をラミネートしたフィルムです。
どちらも鏡や金属のような光沢感があり、日射を反射するので、高い遮熱効果があります。
明るさを犠牲にせず、高い遮熱効果を必要とする商用車や、ドレスアップとして使用されます。
薄膜積層フィルム
高遮熱フィルム、発色フィルム
ポリエステルを薄く100層以上重ねた、特殊な構造のフィルムです。
無色透明ですが、フィルムの構造で可視光の一部に干渉、反射を起こし、高い遮熱性能を備えています。
構造発色によって、オーロラのように発色して見えるものもあります。
日焼け予防や遮熱、ドレスアップとして使用されます。
可視光線透過率は高めなので、フロントのガラスにも貼り付けできます。
昔からおなじみの着色フィルム、機能性重視の透明フィルムや反射フィルム、光学技術が詰まった薄膜積層フィルムと、様々な種類のウィンドウフィルムがあります。
フロントのカーフィルム施工について
毎日運転される方は、ご自身の日焼け対策や熱さ対策に頭を悩まされますよね。
実はフロントのガラス(フロントガラス、フロントクォーターガラス、フロントドアガラス)にもウィンドウフィルムを装着可能で、それらの悩みを解消することができます。
ただし、装着するにあたり、守らなければならない大切なことがありますので、解説します。
守らなければならない基準
公道を走行する車には、安全確保と環境保全の観点から守らなければならない技術基準【道路運送車両の保安基準】が、道路運送車両法で定められています。
道路運送車両の保安基準 第29条で、フロントのガラス(フロントガラス、フロントクォーターガラス、フロントドアガラス)に装着されるものに対し、【可視光線透過率を70%以上確保されており、交通状況を確認するための充分な透過性があること】という基準が定められています。
記事の最後に抜粋を載せておきます。
保安基準に適合しないと車検に通りませんので、ウィンドウフィルムは正しく装着する必要があります。
正しいフロントのカーフィルム施工
それでは、どのようにすればフロントのガラスに正しくウィンドウフィルムを装着できるのでしょうか。
可視光線透過率を目視で判断することは不可能であるため、正しくウィンドウフィルムを装着するには、可視光線透過率を測定し、70%以上確保されていることを確認しなければなりません。
測定をするには、保安基準で定められている規格を満たした可視光線透過率測定器PT-500/PT-50が必要になります。
透明なフィルムでも、装着後に70%を下回ることは当たり前にありますので、測定作業は必須です。
ご依頼になられる際は、施工店がこれらの測定器を保有しているのかどうか、あらかじめご確認ください。
全国のリーガルゴーストショップでは、PT-500/PT-50を正しく運用しています。こちらからご相談ください。
フロントのカーフィルム施工についての誤解
ご理解いただけたかと思いますが、フロントのカーフィルム施工で大切なことは、可視光線透過率を70%以上確保することです。
ネット上でよく見かける、透明であればOK、オーロラのような発色があるからNG、車内が見えなくなるからNG、装着すること自体NG、などの投稿は誤った情報です。
基準を満たせば装着できます。
最後に
普段から車を運転されている方にとって、快適性はとても重要ですよね。
カーフィルム施工でより快適になることは間違いなく、それが車の個性の1つになることで愛着も増すことでしょう。
好みのカーナビやホイールを装着する感覚で、ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。
自分には関係ないと思っていたカーフィルム施工が、より身近なものとして感じていただけたら幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
参考資料 フロントのガラスへのウィンドウフィルム装着に関する法令
道路運送車両の保安基準 第29条 第3項
自動車(被牽引自動車を除く。)の前面ガラス及び側面ガラス(告示で定める部分を除く。)は、運転者の視野を妨げないものとして、ひずみ、可視光線の透過率等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第117条 第4項 第七号 / 第195条 第5項 第七号
装着され、貼り付けられ、又は塗装された状態において、透明であるもの。この場合において、運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分にあっては可視光線透過率が70%以上であることが確保できるもの
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第195条 第7項
窓ガラスに装着され、貼り付けられ、又は塗装された状態において、運転者が次の各号に掲げるものを確認できるものは、第5項第7号の「透明である」とされるものとする。
一 運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分にあっては、他の自動車、歩行者等
二 前項第1号及び第2号にあっては、交通信号機
三 前項第3号及び第4号にあっては、歩行者等